預貯金を相続した際の手続き
1 預貯金口座は解約や名義変更が必要
亡くなった方の名義のままで口座を維持することはできませんので、預貯金口座は解約や名義変更を行うことになります。
2 名義変更ができない場合
ただ、相続人間で遺産分割がまとまっていない場合は、相続人代表者を決めることも、遺産分割協議書を銀行に示すこともできないため、預貯金口座の解約を行うことはできません。
ですので、遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成したり、銀行に届け出る相続人代表者を決める等をする必要があります。
3 時間がかかるのは遺産分割協議
遺産分割協議は、相続人間で取り分についてもめることがなければ、書類を作成するのみですので、すぐに終わらせることができます。
ただ、相続人間で意見がまとまっていない場合は、まず話し合いで決着をつけなければなりません。
もし、話し合いで決着がつかない場合は、遺産分割調停となります。
遺産分割調停は、家庭裁判所で調停員を通しながら行う話しあいですが、一度、話し合いが決裂してから調停申立てとなっている場合は、少なくとも半年~1年以上の時間がかかることはよくあります。
それでも決着がつかない場合は、家庭裁判所で審判手続によって強制的に結論を出すことになります。
審判までいきますと、解決までに約3年以上かかるようなこともあります。
遺産分割が解決したら、遺産分割協議書・遺産分割調停調書・遺産分割の審判書のいずれかに預貯金の相続人を指定し、その者が手続を行うことになります。
4 時間がかからないのは遺言書
遺産分割協議を行わなくとも、遺言書によって、預貯金の相続人が決まっているような場合は、遺産分割協議を行わなくとも手続を行うことができます。
この場合は、まず、自筆証書遺言であれば家庭裁判所に持ち込み、検認手続を行います。
その後、遺言執行者を定め、その者が手続を行っていくことになります。
遺言書に遺言執行者があらかじめ定められている場合は、その者が手続を行うことになります。