遺産分割の方法とそれぞれの注意点

文責:弁護士 井川卓磨

最終更新日:2024年06月13日

1 分割方法の種類

 遺産分割をする際の具体的な方法として、現物分割、代償分割、換価分割、共有分割が挙げられます。

 分割方法を検討する際の順番としては、まずは現物分割を検討し、それが難しい場合は代償分割、換価分割、共有分割の順に検討することになります。

2 現物分割

 現物分割とは、個々の財産の形状や性質を変更することなく分割する方法をいいます。

 例えば不動産においては、土地又は建物の一部を分筆、区分して分割するケースがあります。

 この場合、そもそも分割が可能であるのか、分割した後の不動産が違法状態にならないのかについて注意する必要があります。

 土地の場合、自治体によっては条例で最低敷地面積が定められているケースがあり、現物分割をしようとしても、分割後の土地の面積が最低敷地面積を下回ってしまうと、分割ができません。

 また、建物の敷地を分筆して、建物の建っていない土地と建物の敷地に分筆しようとした場合、容積率や建蔽率によっては分筆後の建物が違法建築状態になることもあります。

 通常、建物を建築する場合には、当初の建物の敷地を前提として容積率や建蔽率を計算して、建物を建てています。

 ところが、建物の敷地を分筆してしまうと、敷地の面積が少なくなり、容積率や建蔽率を充たさなくなる場合があります。

 そうすると、建物は違法建築状態となってしまいますので、現物で土地を分割する場合には既存建物の容積率や建蔽率についても、注意を要します。

 このように、不動産の現物分割の場合、法令や条例との関係で分割が可能であるかを確認しておく必要があります。

3 代償分割

 代償分割とは、一部の相続人が法定相続分を超える財産を取得する代わりに、他の相続人に対して代償金を支払う債務を負担させる分割方法をいいます。

 この方法は、資力のある相続人が不動産の取得を希望するようなケースで有用だと言えます。

 一方で、相続人に資力が無い場合には代償金が支払えないため、採り得ない分割方法となります。

4 換価分割

 換価分割とは、遺産を売却等で換金した後に、各相続人に分配する分割方法となります。

 例えば、遺産に不動産があるものの、相続人が誰も取得を希望しない場合などに採用されます。

 相続人同士が共同して売却して分配するという点では、相続人で同じ目標を持つことになりますので、ケースによっては他の分割方法よりも相続人の協力を得られやすいことがあります。

5 共有分割

 共有分割とは、現物分割、代償分割、換価分割のいずれもが難しい場合で、相続人が共有を希望しているような場合に、遺産を相続人で共有するという分割方法です。

 共有分割にすると、一旦はそこで遺産分割としては完了することになります。

 しかしその後、例えば共有にした不動産を処分ないし管理する場合に共有者の同意が必要となるなど、都度他の相続人と協議しなくてはならなくなり、不動産の処分・管理の手続きが煩雑になってしまいます。

 共有分割は、相続人全員が遺産の不動産の取得を希望し纏まらない場合等にはやむを得ない方法と言えますが、可能な限り避けるべきかと思います。

6 分割方法で迷ったら

 このように、遺産分割の方法には複数の方法があり、それぞれメリット・デメリットがあります。

 具体的なケースでどの方法が最適であるかについて判断するためには、相続分野の法的な知識はもちろん、分割対象の財産(不動産や金融商品)に関する知識が欠かせません。遺産分割の方法で悩まれている場合には、相続に強い弁護士に相談することをおすすめします。

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