相続税の税務調査の流れ
1 相続税における税務調査
相続税の申告・納税を行ったが、申告内容に誤りや漏れがあった場合、本来は相続税の申告・納税をしなければならないのに、申告・納税をしていなかった場合など、適切な納税が行われていないと疑われたケースでは、税務調査が行われます。
令和3年度における相続税申告の件数は、13万4275件でしたが、うち6317件で実地調査が行われ、1万4730件で簡易な接触(文書や電話、税務署への来署を依頼して、申告を是正させる措置)が行われました。
したがって、簡易な接触も含めると、全体の約15%が税務調査を受けていることになります。
そして、実地調査がされた件数のうち、87.6%が申告漏れ等の指摘を受けています。
2 税務調査の流れ
⑴ 税務署からの連絡
税務調査が入ることとなった場合、税務署から連絡がありますので、まずは税務調査の日程とどこで調査を行うか(被相続人が最後に住んでいた家で行うことが多いです)を調整します。
なお、税理士に相続税申告を依頼していた場合には、税理士宛に連絡が来ます。
⑵ 税務調査当日
ア 午前中
税務調査当日は、国税調査官(2人)が来て、被相続人の家族関係や財産の状況、生前の仕事や生活状況など、申告時に財産等に漏れがないかを判断するために手掛かりとなりそうな点について質問されます。
また、相続人についても質問されることがありますが、真摯に答えるようにしましょう。
イ 昼休憩
12時くらいになると、昼休憩に入ります。
国税調査官は、外で食事をとるため、食事等を用意する必要はありません。
ウ 午後
午後からは、被相続人の通帳や自宅内にある金庫などの現物調査が行われます。
特に、通帳の動きから財産の申告漏れや名義預金の存在などが発覚するケースが多いので、通帳の動きは慎重にみられることが多いです。
税務調査は、おおむね夕方5時頃まで続く場合があり、通常は1日のみで終わりますが、2日間にわたる場合もあります。
⑶ 税務調査結果
税務調査の結果、申告漏れや誤りがあった場合には、修正申告をして、相続税を追加納付しなければなりません。
また、後日延滞税や過少申告加算税等のペナルティに当たる部分の請求が来ますので、そちらの納付も必要になります。
3 税務調査とならないよう適切な申告を
以上、税務調査の流れを見てきました。
税務調査に応じなければならない負担も大きいですし、申告漏れや誤りがあった場合、ペナルティも課せられる可能性がありますので、最初から正しく・もれなく申告をすることが大切です。
相続税申告に関しては、税理士にご相談されることをおすすめします。