相続税を申告するまでの流れ

文責:税理士 井川卓磨

最終更新日:2023年11月07日

1 期限内に相続税を申告するために

 被相続人が亡くなり、その遺産相続が行われた場合、遺産の額によっては相続税という税金を支払わなければなりません。

 もっとも、市県民税や自動車税、固定資産税等は、役所等がその税金の金額を計算して請求してきますが、相続税は自分でその金額を計算し、その根拠となる資料を付けて税務署へ申告しなければなりません。

 しかも、相続税の申告は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内に申告・納税をしなければならず、期間にも限りがあります。

 そこで、期間内に相続税を申告するために、どのような流れで相続税を申告するかについて、解説していきます。

2 法定相続人の確認

 まず、法律上相続人となるべき人(法定相続人)が誰なのかを確認する必要があります。

 被相続人の配偶者は必ず相続人となり、①被相続人の子(子が既に亡くなっている場合は孫)が第1順位、②子がいなければ、被相続人の両親や祖父母(直系尊属)が第2順位、③直系尊属がいなければ、被相続人の兄弟姉妹(兄弟姉妹がなくなっている場合には、甥・姪)が第3順位の法定相続人とされています。

 法定相続人の調査は、被相続人の出生から死亡までの一連の戸籍を取り寄せることで確認できます。

 なお、法定相続人の数は、相続税を支払わなければならないかを判断する基準である基礎控除額を算定するために必要な情報です。

3 遺産の確認

 被相続人の遺産としてどのようなものがあるかを確認する必要があります。

 被相続人が遺言書を残している場合には、どのような財産を持っているかが網羅的に記載されている可能性があるので、財産調査も比較的楽になりますが、遺言書がない場合、被相続人の通帳の動きや自宅等に届いている郵便物等から、どのような財産があるかを探す必要があります。

 また、役所から名寄帳を取り寄せて所有する不動産の有無を調べる、主要な銀行・信用金庫等に照会をかけて口座の有無を調べる、生命保険協会に照会をかけて加入していた保険を調べる等も、有効な調査手段となります。

 なお、相続税申告をする際は、借金や未払いの公共料金・税金・医療費などの負債も、マイナスの財産として計上することができますので、そのような請求書が自宅に届いていないかを確認してみるとよいでしょう。

4 遺産の評価

 遺産の内容が判明したら、その相続税評価額を算定します。

 現金や預貯金であれば、額面通りの金額がその評価額になりますし、上場株や有価証券も被相続人の死亡日時点の時価額がその評価額になりますので、その評価額を算出することは比較的容易といえます。

 他方で、土地や非上場株式については、複雑な計算が必要になりますので、知識・経験がないまま申告をしてしまうと、税金の払い過ぎが生じたり、過少申告となってしまって後々に税務調査が入り追徴課税を命じられる可能性もありますので、注意が必要です。

5 遺言の確認、遺産分割協議

 被相続人が遺言を残している場合には、相続人間での相続税の負担割合も変わりますので、遺言書が残っているかを確認する必要があります。

 なお、遺言書が自筆証書遺言である場合、家庭裁判所の検認の手続きも必要になります(公正証書遺言の場合は不要)。

 もし遺言書が残っていない場合には、相続人同士で遺産分割協議をすることになります。

6 相続税申告書の作成及び税務署への申告・納税

 以上のようなプロセスを経て、法定相続人の情報、遺産の内容や評価額等を相続税申告書にまとめて、税務署へ申告と納税を行います。

 なお、相続税には、相続税を安く抑えるための特例がいくつかあります。

 これらの特例を適用できるかを検討することも重要です。

7 相続税申告は税理士へ

 相続税申告の流れを概観しましたが、10か月という短い期間内に、遺産を漏らすことなく調査し尽くし、間違えることなく遺産の相続税評価額を算出し、適用できそうな特例があればそれらを駆使して申告を行う、という一連の流れを行うことは、慣れていない方にとっては非常にハードルが高いといえます。

 相続税申告についてお困りの方は、早めに税理士へご相談ください。

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